安藤 ブランドを作るに当たり、永田さんがこだわったことは何ですか。
永田 デザインです。自分たちのお客さんになる人は、どんなことを求めているのかを考えました。当時、元気のある建築屋さんっていうのは、デザイン性が高いところばかりだったんです。新しく建てる人は、古い建物を壊す人。そうターゲットを定め、おしゃれな解体屋を目指そうって。だから、自分たちを表現、発信する一番の元となる、ロゴマークのデザインにはかなりこだわりました。
安藤 ロゴマークが入った名刺はインパクトがありますよね。何屋さんかな?ってみなさん感じるんじゃないですか。
永田 解体屋という言葉をあえて入れていませんからね。デザイン性が高く注目されているハウスメーカーさんで名刺を差し出したら、「おたく何屋さん?」って尋ねられて。「解体屋です」って答えたら、「すごい名刺をつくるね。自分たちもデザインにこだわっているので、こういうところを待っていたんだよ」って共感してもらい、仕事に結びついたこともあるんです。
安藤 名刺1枚でもフィットの想いを伝えることができたんですね。あと、WEBサイトもかなり凝った作りになっていますよね。
永田 ビルを5回クリックしたら、ビルが傾き、重機が動いてビルを解体していく。そんな遊び心を持たせてあります。お客さんから「思わず5回クリックしちゃったよ」って幾度となく言われました。名刺、封筒、会社案内、WEBサイト、全て同じカラー、同じデザインで統一することで、フィットのブランドイメージを連続させて発信するようにしました。
安藤 フィットブランドといえば、何より白色へのこだわりですよね。従業員が毎日きれいな白い服を着る、トラック、重機も白色。そこでもイメージの連続をちゃんと図っていて。
永田 解体屋だから、当たり前だけど1日作業すると、汚れちゃうんだよね。服もトラックも泥だらけ、埃まみれになる。だからと言って、汚れの目立たない黒い服を着る、どうせ汚れるからって汚い格好で作業をする。それは違うだろうっていうのが、中崎の考えですから。汚れたら洗えばいい、日本一白色が似合う解体業者をフィットは目指しています。
安藤 そうやって発信し続けることで、フィットブランドが大きくなってきたんですね。
永田 現場でよく、「あんたんとこ珍しいね」って言われるんです。「作業着がみんな揃っていてい、みんな同じヘルメットをかぶっていて、見ていて安心だね」って。別に特別なことをしているわけじゃないんです。制服をそろえること、だれが来ても挨拶をすること、汚れた道はきれいにして帰ること。当たり前のことをちゃんとすればいいんです。現場って僕らのショールーム、ブランド発信の場になるわけですから、そういった当たり前を一つ一つ積み重ねていくことで、フィットのブランドが形成されるんだと思います。
安藤 永田さんと話していると、解体屋のイメージが随分変わりますね。
永田 平成22年に株式会社フィット・プラスを設立し、僕自身も会社の代表としてフィットブランドを指揮する立場となりました。おかげさまで、フィットという名前がだんだん業界で浸透していくのを感じています。ただ、まだまだ、一般のお客さんにとっての解体屋というのは、汚い、愛想が悪いなど、マイナスのイメージが強いのではないかと思います。清潔な制服を着る、あいさつをする。そういった当たり前のことをちゃんと行うというフィットを発信し、広めることで、みなさんが抱く解体屋のイメージを変えていくのが僕の夢です。
永田裕一朗
株式会社フィット・プラス 代表取締役
フィット・グループのブランディングプロデューサー。卒業後、建築資材メーカーに就職し、その後、建築資材の販売施工代理店へと転職。その中で営業、販売、管理、施工といった建築の一連の流れを学ぶ。平成20年株式会社フィットに入社。解体屋にはなかった新しいデザイン性を考慮したツール作成を手がけ、フィットブランド発信のために邁進。平成22年、株式会社フィット・プラスを設立し、代表取締役に就任。
株式会社フィット・プラス
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