安藤 今では北海道内に直営12棟を運営されていますね。社長の掲げる新しい下宿「ゲストハウス」の特徴とは?

吉田 今までの下宿は、古い、汚い、プライバシーがない…などと、マイナスのイメージばかりがつきまとっていたと思います。ゲストハウスでは、安心、安全、安定をテーマにそれらの問題を解消するシステムを構築しています。例えば、各個室に風呂・トイレを別々に確保したり、安全な北海道産の食材を使用したり、オートロック・防犯カメラなどのセキュリティーを充実させています。また、下宿=学生ではなく、先ほどの建設会社の方をはじめ、サラリーマンの出張や転勤、学生の研修、旅行先の宿など、利用者の多様化を図っています。そのために、ホテルと全く変わらない機能をもったものや、店舗付きのもの、天然温泉付きのものなど、下宿に様々な価値を見出し、時代に適した新しいタイプの下宿ビジネスを創造しています。

安藤 下宿の魅力ってなんですか?

吉田 下宿というのはつくづく教育の場だなと思うのです。共同生活する子どもたちが管理人とコミュニケーションを取る中で、挨拶を覚え、社会のルールや自立生活に必要なことが自然と身についていくのです。人と人とのふれあいの中で、お互いが成長していき、管理人をはじめどんな人に対しても『感謝』の気持ちを持つことができる。この『感謝』の連鎖こそが魅力ではないのでしょうか。
 また、私たちが運営している「ゲストハウス北海」には、北海高校の野球部の子が入居しているのですが、彼らが甲子園に出場した時に、私はケーキをプレゼントしてお祝いをしてあげました。そして甲子園まで行き、手に汗を握り、声を枯らしながら応援しました。そうやって、ゲストハウスにいる自分の子どもたちの活躍する姿を見ることが、何より嬉しいですね。

安藤 今の社長の笑顔が全てを物語っていますね。最後に今後の展開をお聞かせください。

吉田 学生だけでなく、今後、社会人や高齢者の方が一緒に住む、世代を越えたコミュニティーの場をつくって行きたいです。人間関係の希薄化が叫ばれている中、ゲストハウスが居住空間としてだけではなく、地域の広場として皆さんが活用できる場になれば嬉しいですね。
 たまたま、自分の生まれた北海道で始めたこの仕事ですが、実は北海道、東北というのは全国の下宿の60%以上を占めていて、すごく多い所なのです。そういう面もあったおかげで、ここまでやってこられたと思います。ただ、日本全国にも下宿があり、そこで悩んでいる人たちがたくさんいるはずです。下宿屋というのは、自分でお客さんを確保して、そこで完結していきますので孤立しがちです。そこで私たちが今まで培ってきた経験をもとに、ノウハウ、情報等を北海道から発信し続け、全国各地の下宿屋を結ぶ架け橋として、地域の活性化のために貢献できればと思います。

吉田浩憲 
ケントクリエーション株式会社 代表取締役


 大学で建築を学んだ後、1980年住宅会社に入社。アパート・マンションの営業や土地活用などの仕事に携わり、売上で全国1位を記録。札幌、東京、大阪と各地で経験を積んでいく中で、下宿業に興味をもつ。2002年に退社し、ケントクリエーション株式会社を設立、代表取締役就任。『下宿は教育の場』という持論のもと、地域・期間・人数・予算に合わせた新しいタイプの下宿「ゲストハウス」を北海道から発信している。


ケントクリエーション株式会社
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